燃えるような模造の夕日が、死者の墓標と一人の青年の背を照らす。

それを見つめるのは、金と銀の髪をした対のように寄り添う二人。

「イザーク・・・」

先程、彼にしては珍しく激情を堪え、けれど真摯に、強大な力を持つ
かつての同僚へ請い願った姿を思い浮かべ、ディアッカはイザークの肩に
そっと手を回し、その細い体を抱き寄せた。

「・・・わかってはいる。アイツがこちらへ戻るのを躊躇うことも」

「・・・そうだな」

先の大戦で共に戦った二人には、彼がこちらへ来ることを躊躇う理由など明白。

彼の父のこと、彼が裏切った形になった軍のこと、そして-----------

「・・・アイツにとって守りたいものは、もう・・・」

ディアッカが続けようとした言葉は、突如吹いた風に掻き消された。
けれど、耳元で聞いていたイザークには、はっきりと聞こえていた。

「それでも・・・俺たちには力が・・・プラントを守る力が必要なんだ・・・」

イザークはポツリと呟き、ディアッカが彼を抱く腕に力をこめた。

そして二人は、守るものを失くした哀れな戦士の背をいつまでも見守っていた。





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*彼岸花*悲しい思い出